トラウマからの歩き方

回復の停滞や後退にどう寄り添うか:トラウマからの歩みを支えるレジリエンスと支援者のセルフケア

Tags: トラウマ回復, レジリエンス, 支援者セルフケア, 寄り添い方, 停滞・後退

トラウマからの回復の道のりは、しばしば一直線ではなく、波があるものです。前に進んでいると感じる時もあれば、停滞しているように感じたり、あるいは後退したように思えたりすることもあるかもしれません。大切な方がそのような時期を過ごされているのを見るのは、サポートする方にとっても、辛く、どのように接すれば良いのか分からなくなることがあります。

この記事では、トラウマからの回復期における停滞や後退という状況にどのように向き合い、大切な方をサポートしていくか、そして支援者としてご自身の心身をどのようにケアしていくかに焦点を当てて解説します。レジリエンスを育む視点も交えながら、共にこの困難な時期を乗り越えるためのヒントを提供できれば幸いです。

トラウマからの回復になぜ波があるのか

トラウマは、心と体に深い影響を及ぼします。回復プロセスは、この深い傷つきからの癒しであり、一朝一夕に進むものではありません。回復に波があるのは、いくつかの要因が考えられます。

これらの波は、回復が失敗したということではありません。むしろ、傷つきに向き合い、癒しが進んでいる過程で起こりうる自然な反応として理解することが大切です。

停滞や後退にどう寄り添うか:大切な人への具体的なサポート

大切な方が回復の停滞や後退を経験されているとき、支援者としてできることがあります。焦らず、以下のような視点を大切にしてみてください。

停滞・後退期だからこそ育みたいレジリエンスの視点

回復の波の中で停滞や後退を経験することは、つらく感じられますが、同時にレジリエンス(困難から立ち直る力)を育むための重要な機会でもあります。

支援者として、これらのレジリエンス因子を大切にするよう、そっと促すことができます。焦りを手放し、困難な状況そのものの中に隠された学びや強さの可能性に、大切な人と共に気づいていく視点を持つことができれば、サポートはより深いものになるでしょう。

支援者のセルフケア:共倒れしないために

大切な方の停滞や後退を間近で見ていると、支援者自身も無力感、焦り、疲労を感じやすくなります。共倒れせず、継続的にサポートを提供するためには、支援者自身のセルフケアが不可欠です。

ご自身の心身の健康を保つことは、決して利己的なことではありません。むしろ、あなたが健やかであるからこそ、大切な方に対して安定したサポートを提供し続けることができるのです。

まとめ

トラウマからの回復の道のりは、山あり谷ありであり、停滞や後退は起こりうる自然な一部です。この時期に、焦らず、評価せず、ただ寄り添うこと、そして小さな変化や努力に目を向け、肯定的に支えることが、大切な方のレジリエンスを育むことに繋がります。

同時に、サポートする側であるあなた自身の心身の健康も、回復の道のりを共に歩む上で非常に重要です。ご自身の感情に気づき、適切な休息を取り、周囲に頼ることを恐れないでください。

回復は旅であり、目的地にたどり着くまでには時間がかかるかもしれません。しかし、波があるからこそ、そこから学びを得て、よりしなやかな強さを育むことができるのです。希望を失わず、この困難な時期を共に乗り越えていく力が、あなたにも大切な方にも備わっています。必要であれば専門家の助けも借りながら、一歩一歩、歩みを進めていくことができるはずです。