トラウマからの歩き方

身体活動がトラウマからの回復とレジリエンスをどう支えるか:大切な人へのサポートと支援者のセルフケア

Tags: 身体活動, トラウマ回復, レジリエンス, サポート, セルフケア

トラウマからの回復を支える道のりは、ご本人にとっても、そしてそれを支える大切なご家族や周囲の方々にとっても、決して平坦ではないかもしれません。どう寄り添えば良いのか、何をすれば力になれるのか、ご自身の心身の負担はどう軽減すれば良いのか、多くの問いや不安を抱えていらっしゃる方もいることでしょう。

この道のりを共に歩む上で、レジリエンス、すなわち困難から立ち直り、しなやかに適応していく力は、非常に重要な要素となります。レジリエンスを高める因子は多岐にわたりますが、今回は特に、心と体の繋がりを通じて回復を支える「身体活動」に焦点を当ててみたいと思います。

トラウマからの回復における身体活動の役割

トラウマは、心だけでなく体にも深く影響を及ぼすことが知られています。緊張や不安が続き、体の感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりすることもあります。このような状況において、適切な身体活動は、心身のバランスを取り戻し、レジリエンスを高めるための一助となり得ます。

身体活動は、単に体を動かすだけでなく、以下のような様々な形で回復プロセスに良い影響をもたらすと考えられています。

これらの効果を通じて、身体活動はトラウマによる心身の不調を和らげ、困難な状況に適応していくためのレジリエンスを高める可能性を秘めています。

大切な人への身体活動を促すサポート方法

大切な人がトラウマからの回復を歩む中で、身体活動を取り入れることをサポートしたいと考える場合、いくつかの大切なポイントがあります。

サポートする側は、結果を急がず、根気強く見守る姿勢が求められます。大切なのは、「一緒にいること」「いつでもサポートする用意があること」を伝えることです。

支援者のためのセルフケアとしての身体活動

大切な人をサポートする過程で、支援者の方ご自身も心身の負担を感じることが少なくありません。共感疲労や燃え尽きを防ぎ、長期的なサポートを続けるためには、ご自身のセルフケアが不可欠です。そして、支援者自身のセルフケアとしても、身体活動は有効な方法の一つとなり得ます。

支援者ご自身が心身ともに健康であることは、大切な人をサポートし続ける上での基盤となります。ご自身のための身体活動の時間を、罪悪感なく確保することが大切です。

まとめ

トラウマからの回復とレジリエンスを高める道のりにおいて、身体活動は心身の健康を支え、回復プロセスを後押しする有効な方法の一つです。大切な人が身体活動を取り入れることをサポートする際は、ご本人の意思を尊重し、小さな一歩から焦らず寄り添うことが重要です。

同時に、支援者ご自身が燃え尽きることなくサポートを続けるためには、ご自身の心身のケアが不可欠です。身体活動をセルフケアの一環として取り入れることは、ストレス軽減や気分転換、感情調整に役立ちます。

身体を動かすことは、心と体を繋ぎ直し、自分自身の感覚を取り戻すことにも繋がります。回復は直線的なプロセスではなく、波があることを理解し、身体活動を楽しみながら、ご自身のペースで、そして大切な人のペースを尊重しながら続けていくことが、希望を持って歩み続ける力となるでしょう。必要であれば、専門機関のサポートも活用しながら、共にこの道を歩んでいくことを願っております。